障がい者施設向けシフト管理システムを解説!機能や選び方も

障害者施設の運営において、シフト作成は毎月のように発生する負担の大きな業務です。利用者一人ひとりの支援状況に合わせて職員を配置しなければならず、さらに資格の有無や夜勤の偏り、人員配置基準など、考慮すべき要素が数多くあります。手作業でこれらを調整していると、多くの時間がかかるだけでなく、ミスも起こりがちです。

そこで近年注目されているのが、シフト管理を効率化するためのシステムやツールです。ただ、ひとくちにシフト管理といっても、その方法はさまざま。自施設に合った方法を選ばなければ、かえって手間が増えてしまうこともあります。

この記事では、障害者施設のシフト作成を効率化する方法を整理したうえで、シフト管理システムの機能や選び方についてわかりやすく解説します。「今のやり方に限界を感じている」「自分の施設に合った方法を知りたい」という方は、ぜひ参考にしてください。

この記事で分かること

1. シフト作成を効率化する4つの方法の比較表
記事の核となる4つの方法(Excel・スプレッドシート/汎用アプリ/特化型システム/業務一体型)を、「導入のしやすさ」「料金」「福祉ルールへの対応」「他業務との連携」といった観点で並べた比較表。読者が自施設に合う方法を一目で見比べられるため、もっとも図解の価値が高い部分です。

2. シフト作成業務の流れ(手作業 vs システム導入後)の対比図
「希望休の収集 → 公休決め → 出勤日割り振り → 業務確認 → 人員配置基準チェック」という一連の流れを2段に並べ、手作業ではどこに手間や転記が発生し、システム導入後はどこが自動化されるかを矢印で示す図。効率化の効果が直感的に伝わります。

3. 「単機能ツール」と「業務一体型システム」の構造イメージ図
単機能ツールは「シフト」「勤怠」「記録」「請求」が別々の箱として分断され、間に二重入力の矢印が走る図。一体型は1つの大きな箱の中で各業務がつながり、転記が発生しない図。両者の違いと「二重入力」という抽象的な課題を視覚化できます。

目次

障害者施設のシフト作成を効率化する4つの方法

障害者施設のシフト作成を効率化する方法は、大きく分けて次の4つがあります。

  • Excel・スプレッドシートで作る
  • 汎用のシフト作成アプリを使う
  • 障害福祉・介護に特化したシフト管理システムを使う
  • シフト機能を含む業務管理システム(一体型)を使う

それぞれにメリットと向き・不向きがあるため、施設の規模や運営体制に合わせて選ぶことが大切です。以下で順番に見ていきましょう。

Excel・スプレッドシートで作る

もっとも身近な方法が、ExcelやGoogleスプレッドシートを使ってシフト表を自作するやり方です。すでに使い慣れているソフトであれば、新しくお金をかけずに始められるのが大きな魅力。レイアウトや項目も自由に決められるため、自施設のやり方に合わせた表を作りやすい点もメリットといえます。

一方で、職員の希望休や資格、夜勤の偏りといった条件をすべて手作業で調整する必要があり、人数や勤務パターンが増えるほど負担も大きくなります。関数を組んである程度自動化することもできますが、その仕組みを作ったり保守したりするには、ある程度の知識も必要です。担当者が変わったときに引き継ぎが難しくなるケースもあります。職員数が少なく、勤務パターンもシンプルな小規模な施設であれば、十分に活用できる方法でしょう。

汎用のシフト作成アプリを使う

業種を問わず使える、一般的なシフト作成アプリを利用する方法もあります。飲食店や小売店など幅広い業種で導入されているもので、職員がスマートフォンから希望シフトを提出できたり、作成したシフトをそのまま共有できたりと、Excelにはない便利な機能がそろっています。比較的安い料金で導入できるものも多く、シフト集めや共有の手間を減らしたい施設に向いています。

ただし、こうしたアプリはあらゆる業種に対応するよう作られているため、障害福祉ならではのルールには対応していないことがほとんどです。たとえば、サービスの種別ごとに必要な資格の確認や、人員配置基準を満たしているかのチェックといった福祉特有の要件は、結局のところ手作業で確認しなければなりません。「シフトの提出・共有だけでも楽にしたい」という目的であれば選択肢になりますが、福祉特有の条件まで任せたい場合には物足りなさを感じるでしょう。

障害福祉・介護に特化したシフト管理システムを使う

障害福祉や介護の現場向けに作られた、専用のシフト管理システムを使う方法です。この種のシステムは、業界特有のルールをあらかじめ想定して設計されているのが大きな特長。サービス種別ごとの資格確認や人員配置基準のチェック、夜勤の公平な割り振りなど、現場で頭を悩ませがちな調整を、システムが自動でサポートしてくれます。

なかには、AI(人工知能。膨大なデータをもとに最適な答えを導き出す技術)を使って、職員の希望と各種条件を踏まえたシフト案を自動で作成してくれるものもあります。公休や夜勤を先に決めてから全体を組み立てるなど、人の手で行っていた工夫を再現する仕組みを備えたシステムも登場しています。
導入には一定のコストがかかるものの、シフト作成にかかる時間を大きく減らせる点で、調整に苦労している施設ほど効果を実感しやすい方法です。

シフト機能を含む業務管理システム(一体型)を使う

シフト作成だけでなく、支援記録や申し送り、国保連請求(こくほれんせいきゅう。障害福祉サービスの報酬を国民健康保険団体連合会に請求する手続き)まで、施設運営に関わるさまざまな業務を1つにまとめたシステムもあります。シフトを単独で管理するのではなく、日々の業務全体の流れの中に組み込めるのが特長です。

たとえば、作成したシフトをもとに支援記録をつけ、その情報をそのまま請求業務へつなげるといった連携が可能になります。業務ごとに別々のソフトを使い分ける必要がなくなるため、情報をあちこちに入力し直す手間や、転記ミスも減らせます。シフト管理だけでなく、施設運営全体を効率化したいと考えている場合に、特に力を発揮する方法といえるでしょう。
導入の際は、自施設で必要な機能がそろっているか、料金に見合った効果が得られるかをよく確認することが大切です。

Excelや汎用アプリだと効率化の限界も

ここまで4つの方法を紹介しましたが、「まずは手元のExcelや、安く始められる汎用アプリで十分では?」と感じた方もいるかもしれません。たしかに、これらは手軽に始められる魅力があります。ただ、障害者施設のシフト作成には、ほかの業種にはない独特の難しさがあるため、こうした方法では効率化に限界を感じる場面も少なくありません。

ここでは、Excelや汎用アプリでシフトを管理する場合に、どのような壁にぶつかりやすいのかを見ていきましょう。

具体的には、次のような点が課題になりがちです。

  • 福祉特有のルールに対応していない
  • 条件が増えるほど手作業の負担が膨らむ
  • ほかの業務とつながらず、二重入力が発生する

福祉特有のルールに対応していない

障害者施設のシフト作成では、一般的な勤務時間の管理に加えて、福祉ならではの細かいルールを守る必要があります。たとえば、サービスの種別によって従事できる職員の資格が決まっていたり、職種ごとに満たすべき人員配置基準があったりと、考慮すべき条件が数多くあります。

ExcelやGoogleスプレッドシートには、こうした福祉特有のルールを判定する仕組みはありません。汎用のシフト作成アプリも、幅広い業種で使えるように作られているぶん、業界ごとの細かい要件までは想定されていないのが一般的です。そのため、シフトを組んだあとに「この日は資格を持った職員が足りていないか」「配置基準を満たせているか」を、結局は人の目で一つひとつ確認しなければなりません。確認もれがあれば、報酬が減らされる減算につながるおそれもあり、見落とせないポイントです。

条件が増えるほど手作業の負担が膨らむ

職員一人ひとりの希望休、保有している資格、夜勤の偏り、利用者との相性など、シフト作成で考慮すべき条件は多岐にわたります。職員数が少なく勤務パターンも単純なうちは、こうした条件を手作業で調整できるかもしれません。しかし、職員や利用者が増えたり、勤務の種類が複雑になったりすると、組み合わせの数は一気に膨れ上がります。

Excelで関数を組んである程度自動化する手もありますが、複雑な条件をすべて反映させようとすると、仕組み自体が複雑になりがちです。作った本人にしか中身がわからず、担当者が変わったときに引き継げないという問題も起こります。汎用アプリの場合も、福祉特有の条件は手作業で補う必要があるため、結局のところ調整の手間からは逃れられません。

条件が増えるほど作成に時間がかかり、ミスも起こりやすくなるのが実情です。

ほかの業務とつながらず、二重入力が発生する

障害者施設の運営では、シフト作成のほかにも、支援記録の作成や申し送り、国保連への請求など、さまざまな業務が日々発生します。Excelや汎用アプリでシフトだけを管理していると、これらの業務はそれぞれ別の場所で行うことになり、情報がうまくつながりません。

たとえば、シフト表に記載した勤務予定を、別の記録ソフトにもう一度入力し直す、といった二重の手間が生じます。同じ情報を何度も入力すれば、それだけ時間もかかりますし、転記の際にミスが入り込む余地も増えます。せっかくシフト作成を効率化しても、ほかの業務との間で手間が発生してしまっては、全体としての効率化にはつながりません。施設全体の業務を見渡したときに、こうした「つながらない」ことによるロスは、意外と大きな負担になっているものです。

障害福祉に特化したシフト管理システムでできるようになること

Excelや汎用アプリの限界を踏まえると、頼りになるのが障害福祉に特化したシフト管理システムです。福祉の現場ならではの事情を想定して作られているため、これまで手作業で苦労していた部分を、システムが代わりに引き受けてくれます。

では、具体的にどのようなことができるようになるのでしょうか。主な機能として、次の5つが挙げられます。

  • シフトを自動で作成できる
  • 人員配置基準・加算要件を自動でチェックできる
  • 職員の希望シフト・希望休をスマホで集められる
  • 急な欠勤・シフト変更にすぐ対応できる
  • 勤怠管理・給与計算とつなげて二重入力をなくせる

それぞれ詳しく見ていきましょう。

シフトを自動で作成できる

最大の特長といえるのが、シフトを自動で作成してくれる機能です。職員の希望休や保有資格、勤務パターン、必要な人数といった条件をあらかじめ登録しておけば、それらを踏まえたシフト案をシステムが自動でまとめてくれます。

なかには、AI(人工知能)を活用して、より人の判断に近いシフトを作るものもあります。たとえば、まず公休と夜勤を先に決めてベースを固めてから、残りの勤務を割り振っていくといった具合に、ベテランの担当者が頭の中で行っていた手順を再現する仕組みです。「新人どうしを同じ時間帯に組まない」「夜勤ができない職員は夜勤から外す」といった、施設ごとの細かい事情にも対応できます。ゼロから手作業で組むのに比べ、わずかな手直しだけでシフトが完成するため、作成にかかる時間を大きく減らせます。

人員配置基準・加算要件を自動でチェックできる

障害福祉サービスでは、職種ごとに満たすべき人員配置の基準や、報酬に上乗せされる加算の要件が細かく定められています。これらを満たせていないと、受け取れる報酬が減ってしまうため、シフト作成では神経を使う部分です。

特化型のシステムには、こうした基準や要件を満たせているかを自動で確認してくれる機能が備わっています。たとえば、職員を常勤に換算したときの人数が基準に届いているか、加算に必要な体制が組めているかなどをシステムがチェックし、問題があれば知らせてくれます。報酬の請求が差し戻される返戻(へんれい。請求内容に不備があり、いったん戻されること)のリスクを下げられるのも、大きな安心材料です。人の目だけに頼っていた確認作業を任せられるため、見落としによる損失を防げます。

職員の希望シフト・希望休をスマホで集められる

シフト作成は、まず職員から希望休や希望シフトを集めるところから始まります。紙やメールでバラバラに集めていると、取りまとめや表への書き写しに思いのほか手間がかかるもの。この最初の段階を楽にしてくれるのが、スマートフォンからの希望提出機能です。

職員はスマートフォンで入力して送るだけ。集まった希望は自動的にシステム上のシフト表へ反映されるため、書き写す手間がなくなり、転記ミスも防げます。なかには、ふだん使い慣れたLINEのようなツールから希望を集められるものもあり、職員にとっても提出のハードルが下がります。提出もれが減れば、その分だけ早くシフト作成に取りかかれるという利点もあります。

急な欠勤・シフト変更にすぐ対応できる

シフトは一度作って終わりではありません。職員の急な体調不良や家庭の事情で、月の途中に組み直しが必要になることもしばしばあります。手作業だと、こうした突然の変更への対応に追われ、ほかの業務が止まってしまうこともあります。

特化型のシステムなら、月の途中からでもシフトを柔軟に組み直せます。代わりに入れる職員を探したり、予定を画面上で動かして差し替えたりといった操作も、直感的に行えるものが少なくありません。職員どうしでシフトを交換できる機能を備えたシステムもあり、その場合は管理者が間に入って調整する負担も軽くなります。急なできごとにも落ち着いて対応できる体制が整います。

勤怠管理・給与計算とつなげて二重入力をなくせる

シフト管理は、職員の出退勤を記録する勤怠管理や、給与の計算とも深く関わっています。これらが別々の仕組みで動いていると、同じ情報を何度も入力し直す手間が生じてしまいます。

特化型のシステムには、こうした勤怠管理や給与計算とつなげられるものが多くあります。作成したシフトをもとに実際の勤務時間を記録し、そのデータをそのまま給与計算へ引き継ぐといった流れが組めるため、同じ内容を繰り返し入力する必要がなくなります。二重入力がなくなれば、作業の時間が減るだけでなく、入力ミスが入り込む余地も少なくなります。シフトから勤怠、給与までを一本の流れでつなげることで、事務作業全体の効率が大きく高まります。

障害福祉向けシフト管理システムに必要な機能

ここまで、特化型のシステムでできることを見てきました。実際にシステムを選ぶ際には、こうした機能のうち、どれが備わっているかをしっかり確かめることが大切です。製品によって得意とする分野はさまざまで、すべてが同じようにそろっているとは限りません。

ここでは、障害福祉向けのシフト管理システムを選ぶうえで、特に押さえておきたい機能を4つに絞って紹介します。

  • シフト自動作成機能
  • 人員配置基準・加算要件のチェック機能
  • 希望シフト・希望休の収集機能
  • 勤怠管理・実績との連携機能

自施設にとって何が欠かせないのかを考えながら、確認していきましょう。

シフト自動作成機能

まず欠かせないのが、シフトを自動で作成してくれる機能です。職員の希望や資格、勤務パターン、必要な人数といった条件を入力すると、それらを踏まえたシフト案をシステムがまとめてくれます。この機能があるかどうかで、作成にかかる時間は大きく変わります。

選ぶ際には、自動で作ったあとに、人の手で細かく直せるかどうかもあわせて確認しておきたいところ。どれだけ精度の高い仕組みでも、現場の細かな事情まで完全に反映できるとは限りません。「この条件は必ず守る」「これはできるだけ守る」といったように、条件の優先度を段階的に設定できる製品なら、より現場の感覚に近いシフトに仕上げられます。自動作成と手直しのバランスがとりやすいものを選ぶと、長く使い続けやすくなります。

人員配置基準・加算要件のチェック機能

障害福祉サービスならではの機能として、人員配置基準や加算要件を満たせているかを確認してくれる機能も重要です。これらの基準を下回ると報酬が減らされてしまうため、シフト作成では特に気を配る必要があります。

この機能があれば、職員を常勤に換算したときの人数や、加算に必要な体制が整っているかを、システムが自動でチェックしてくれます。問題があれば画面上で知らせてくれるものもあり、見落としを防ぐうえで頼りになります。
また、加算の申請や報告に使う書類を作る機能まで備わっていれば、請求にまつわる事務作業もあわせて楽になります。福祉に特化したシステムだからこそ期待できる部分なので、導入を検討する際はぜひ確認しておきましょう。

希望シフト・希望休の収集機能

シフト作成の出発点となる、職員からの希望集めを支える機能も見逃せません。職員がスマートフォンから希望休や希望シフトを提出でき、それが自動でシフト表に反映される仕組みがあれば、取りまとめや書き写しの手間が大きく減ります。

確認しておきたいのは、職員にとって提出しやすい方法が用意されているかという点です。専用のアプリやWebの画面のほか、ふだん使っているLINEから提出できるものもあり、こうした身近な手段が選べると、職員も気軽に提出できます。提出のしやすさは、期限内にきちんと希望が集まるかどうかにも関わってきます。なかには、「ぜひ入りたい」「できれば避けたい」といった希望の強さを段階的に伝えられる仕組みを持つものもあり、より職員の意向に沿ったシフトを組みやすくなります。

勤怠管理・実績との連携機能

最後に、作成したシフトを勤怠管理や勤務実績とつなげられる機能です。シフトはあくまで予定であり、実際の勤務とのずれを管理したり、勤務実績をその後の業務に活かしたりする場面が必ず出てきます。

この連携機能があると、シフトとして組んだ予定と、実際に働いた実績を照らし合わせることが簡単になります。さらに、その実績データをそのまま給与計算や請求業務へ引き継げる製品もあり、同じ情報を何度も入力し直す手間が省けます。打刻(だこく。出退勤の時刻を記録すること)の手段も、ICカードやスマートフォンなどさまざまなものに対応していると、現場の運用に合わせて選べて便利です。
シフト作成だけで完結させず、その先の業務までスムーズにつなげられるかどうかが、システムの使い勝手を左右する大切なポイントになります。

障害福祉向けシフト管理システムの選び方

必要な機能がわかったところで、次に気になるのが「では、どうやって自施設に合うものを選べばよいのか」という点でしょう。機能が豊富でも、自分の施設の運営に合っていなければ、その良さを活かしきれません。導入してから後悔しないためにも、いくつかの観点から見比べることが大切です。

ここでは、障害福祉向けのシフト管理システムを選ぶときに、特に意識したい5つのポイントを紹介します。

  • 自施設のサービス種別・勤務形態に対応しているか
  • 人員配置基準・加算要件のチェックに対応しているか
  • ITが苦手な職員でも使える操作性か
  • 料金体系が施設規模に合っているか
  • 勤怠・給与・記録など他業務と連携できるか

一つずつ見ていきましょう。

自施設のサービス種別・勤務形態に対応しているか

まず確認したいのが、自施設が行っているサービスの種類や、勤務の形に対応しているかどうかです。障害福祉サービスには、グループホーム(共同生活援助)や居宅介護、重度訪問介護などさまざまな種別があり、それぞれ求められる体制や勤務のあり方が異なります。

たとえば、夜間も職員を置くグループホームでは、日勤と夜勤を組み合わせた交代制のシフトが欠かせません。一方、利用者宅を回る訪問系のサービスでは、移動の時間まで考えに入れる必要があります。こうした自施設ならではの事情に、システムがきちんと対応できるかを見極めましょう。同じ「障害福祉向け」とうたっていても、得意とする種別やカバーする範囲は製品ごとに違います。資料を取り寄せたり、試しに使えるお試し期間を活用したりして、自施設の運用に本当に合うかを確かめておくと安心です。

人員配置基準・加算要件のチェックに対応しているか

報酬に直結する人員配置基準や加算要件のチェックに対応しているかも、見逃せないポイントです。これらを満たせないまま運営すると、報酬が減らされたり、請求が差し戻されたりするおそれがあります。シフト作成のたびに気をもむ部分だからこそ、システムに任せられる意味は大きいといえます。

確認の際は、単にチェックできるというだけでなく、自施設のサービス種別に合った基準に対応しているかまで踏み込んで見ておきたいところ。種別によって満たすべき基準は変わるため、汎用的なチェックだけでは不十分なこともあります。加算の申請に使う書類まで作れる製品なら、シフト作成から請求事務までの流れがひとつながりになり、いっそう効率的です。福祉に特化したシステムの真価が問われる部分なので、慎重に見比べましょう。

ITが苦手な職員でも使える操作性か

どれほど高機能なシステムでも、現場の職員が使いこなせなければ宝の持ち腐れです。福祉の現場には、パソコンやスマートフォンの操作に不慣れな職員もいます。そうした方でも迷わず使えるよう、画面がわかりやすく整理されているか、操作の手順が簡単かといった点をよく確認しましょう。

特に、希望シフトの提出や作成済みシフトの確認は、多くの職員が日常的に行う操作です。ここがわかりにくいと、現場に定着せず、結局もとのやり方に戻ってしまうことにもなりかねません。実際の画面を見せてもらったり、お試し期間に何人かの職員に触ってもらったりして、現場の感覚で使いやすいかを確かめておくと失敗が減ります。ドラッグ&ドロップ(画面上の項目を、押したまま動かして移動させる操作)のように、感覚的に扱える仕組みがあるかも一つの目安になります。

料金体系が施設規模に合っているか

導入を続けていくうえで、料金が自施設の規模に見合っているかも大切な判断材料です。システムの料金は、月額の利用料に加えて、最初に支払う初期費用がかかるものもあります。職員一人あたりいくら、拠点ごとにいくら、といったように、料金の決まり方も製品によってさまざまです。

職員数が少ない小規模な施設なのに、大きな施設向けの料金設定だと、費用ばかりがかさんでしまいます。逆に、複数の拠点をまとめて管理したい場合は、拠点が増えるほど割安になる仕組みがあるとお得です。目先の安さだけでなく、削減できる作業時間やミスの防止といった効果と照らし合わせて、費用に見合うだけの価値があるかを総合的に判断しましょう。無料で試せる期間を設けている製品も多いので、まずは実際に使って効果を確かめてから決めるのがおすすめです。

勤怠・給与・記録など他業務と連携できるか

最後に、シフト管理以外の業務とつなげられるかどうかも、ぜひ確認しておきたい観点です。シフト作成は、勤怠管理や給与計算、さらには日々の支援記録や請求業務とも深く関わっています。これらが別々に動いていると、同じ情報を何度も入力する手間が生じてしまいます。

シフトのデータをそのまま勤怠や給与の計算に活かせたり、支援記録や国保連への請求とつながったりする製品であれば、施設全体の事務作業を大きく減らせます。どこまでの業務を一つにまとめたいのかを、あらかじめ整理しておくとよいでしょう。シフト管理だけを効率化したいのか、それとも運営全体を見直したいのかによって、選ぶべきシステムは変わってきます。将来的に業務の幅を広げる可能性も見据えて、連携のしやすさを確かめておくと、長く使えるシステム選びにつながります。

シフト「単機能ツール」と「業務一体型システム」どちらを選ぶべきか

シフト管理システムを検討していくと、最後に迷いやすいのが「シフトだけに特化したツールを選ぶか、それともさまざまな業務をまとめた一体型のシステムを選ぶか」という点です。どちらが優れているという話ではなく、施設の現状や、何を解決したいかによって、ふさわしい選択は変わります。

ここでは、それぞれがどのような施設に向いているのかを、メリットだけでなく注意したい点もあわせて整理します。自施設の状況と照らし合わせながら読み進めてください。

シフト単機能ツールが向いているケース

シフト作成だけに絞ったツールが向いているのは、たとえば次のような施設です。

すでに勤怠管理や支援記録、国保連への請求などを別のシステムで運用していて、シフト作成の部分だけを補いたいという施設には、単機能のツールがよく合います。今ある仕組みを大きく変えることなく、足りない部分だけを手軽に足せるのが利点です。また、できるだけ費用をかけずに、シフト作成の負担だけを軽くしたいという施設にも向いています。

単機能ツールの魅力は、なんといっても導入が手軽で、料金も比較的安く抑えられる点にあります。必要な機能が絞られているぶん、操作も覚えやすく、すぐに使い始められるものが多いです。

ただし、正直にお伝えしておきたい限界もあります。シフト作成に特化しているため、勤怠や記録、請求といったほかの業務とはデータがつながりにくく、それぞれの業務の間で同じ情報を入力し直す手間が残りやすいのです。つまり、シフトだけは楽になっても、施設全体で見ると二重入力が解消しきれないケースがあります。すでに各業務のシステムどうしがうまく連携できている施設であれば問題になりませんが、そうでない場合は、この点を踏まえて選ぶ必要があります。

業務一体型システムが向いているケース

一方、さまざまな業務をまとめた一体型のシステムが向いているのは、次のような施設です。

シフト作成だけでなく、申し送りや支援記録、国保連への請求までを、紙やExcelでばらばらに管理している施設には、一体型のシステムが力を発揮します。あちこちに散らばった業務を一つにまとめたい、転記ミスや二重入力をまとめて解消したいと考えている施設にも、ぴったりの選択肢です。

一体型の最大のメリットは、施設運営に関わるさまざまな業務が一つの仕組みの上でつながる点にあります。シフトのデータをもとに勤務実績を記録し、その情報をそのまま請求業務へと引き継ぐ、といった流れが組めるため、同じ内容を何度も入力し直す必要がなくなります。情報を書き写す作業がなくなれば、転記ミスもなくなり、事務作業全体にかかる時間を大きく減らせます。

留意しておきたいのは、機能が豊富なぶん、「シフト作成だけを楽にしたい」という施設にとっては、必要以上に大がかりに感じられることがある点です。使わない機能まで含まれていると、料金が割高に感じられたり、操作を覚えるのに手間取ったりすることもあります。
自施設がどこまでの業務を一つにまとめたいのかを見極めたうえで、その範囲に見合ったシステムを選ぶことが、後悔しない導入につながります。

シフト管理システムの料金相場

導入を具体的に考え始めると、やはり気になるのが料金です。シフト管理システムの費用は、選ぶタイプによって大きく変わります。月々支払う利用料のほか、最初に必要となる初期費用がかかる製品もあり、その決まり方もさまざまです。ここでは、単機能ツールと業務一体型システムに分けて、料金のおおまかな傾向をお伝えします。

なお、ここで紹介するのはあくまで目安です。実際の料金は施設の規模や使う機能によって変わるため、詳しくは各製品の資料を取り寄せて確認することをおすすめします。

単機能ツールは、月額は安いが他業務は別システムで費用が分散する

シフト作成に特化した単機能ツールは、月々の利用料が比較的安く抑えられる傾向にあります。製品によって幅はありますが、職員一人あたり月額数百円から、あるいは部門ごとに月額数千円程度から使えるものもあり、初めて導入する施設でも手を出しやすい価格帯です。機能を絞っているぶん、料金もシンプルにまとまっているのが特長といえます。

ただし、注意したいのは、これがあくまで「シフト作成だけ」の料金だという点です。勤怠管理や給与計算、支援記録、国保連への請求といったほかの業務は、それぞれ別のシステムで行うことになります。つまり、シフト用、勤怠用、記録用と、業務ごとに費用が発生し、全体で見ると支払先があちこちに分かれてしまいます。一つひとつは安く見えても、施設全体で合計すると、思っていたより費用がかさんでいたということも起こりえます。シフト単体の安さだけでなく、ほかにかかっている費用も含めて見渡すことが大切です。

業務一体型システムは、月額は高めだが、複数業務をまとめてトータルで割安になりうる

一方、さまざまな業務をまとめた業務一体型システムは、単機能ツールと比べると月々の料金は高めに設定されていることが多いです。シフト作成だけでなく、支援記録や請求業務など幅広い機能を含んでいるぶん、料金もそれなりの水準になります。製品によっては、月額一万円前後から利用できるものもあります。

ただ、ここで見落としてはいけないのが、「一つで複数の業務をまかなえる」という点です。シフト、勤怠、記録、請求といった業務を別々のシステムで契約すると、その合計額はかえって高くつくこともあります。一体型なら、これらを一本にまとめられるため、業務全体で見れば、むしろ割安に収まる場合も少なくありません。さらに、二重入力がなくなることで節約できる作業時間や、ミスが減ることによる安心感まで含めて考えれば、料金以上の価値を感じられるはずです。目先の月額だけで比べるのではなく、施設全体でかかる費用と、得られる効果をあわせて判断するのがよいでしょう。

まずは無理のない範囲から始めることがおすすめ

ここまで、障害者施設のシフト管理を効率化する方法から、システムの機能や選び方、料金の傾向まで見てきました。さまざまな選択肢を前に、「結局、自施設には何が合うのだろう」と迷ってしまった方もいるかもしれません。そんなときは、いきなり大きく仕組みを変えようとせず、まずは無理のない範囲から始めてみることをおすすめします。

新しいシステムの導入は、職員にとっても運営する側にとっても、少なからず負担をともなうものです。一度にすべてを切り替えようとすると、現場が混乱したり、操作に慣れるまでに思わぬ時間がかかったりすることもあります。だからこそ、自施設にとって何がいちばんの困りごとなのかを見きわめ、まずはそこから手をつけるという進め方が現実的です。シフト作成にもっとも頭を悩ませているなら、そこに絞ってシステムを試してみる。記録や請求まで含めて見直したいなら、一体型を視野に入れる。こうして優先順位をつけることで、自施設に本当に必要なものが見えてきます。

その第一歩として活用したいのが、多くの製品で用意されている無料のお試し期間です。資料を読むだけではわからない使い勝手も、実際に触ってみれば具体的につかめます。なかには、一ヶ月や数ヶ月にわたってじっくり試せるものもあり、その間に何人かの職員に使ってもらえば、現場の感覚に合うかどうかも確かめられます。希望シフトの提出はスムーズか、画面はわかりやすいか、自施設のルールにきちんと対応できるか。こうした点を導入前に確かめておけば、「思っていたものと違った」という失敗を防げます。

シフト管理の効率化は、ただ作業時間を減らすだけのものではありません。担当者の負担が軽くなれば、その分の時間を利用者への支援にあてられます。また、職員の希望をできるだけ反映した納得感のあるシフトは、働きやすさやモチベーションの向上にもつながります。まずは小さな一歩から、自施設に合ったやり方を探してみてください。この記事が、その第一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。

記事監修者

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